大判例

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福岡地方裁判所小倉支部 昭和45年(ワ)22号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、本件自動車が被告西井の所有であることは当事者間に争いがないところ、<証拠>を綜合すると、被告岩井は、被告西井の妻の妹で、本件事故前にも本件自動車を五、六回位運転したことがあること、被告岩井は、本件事故の約二ケ月前に運転免許を得たものであり、このことは、被告西井も知つていたこと、被告西井が本件自動車を運転することを許容していたわけではないが、被告岩井から本件自動車を貸してくれるるよう申込まれたときは、充分注意して運転するよう言つてこれに応じていたものであり、被告岩井が本件自動車の鍵を持出して無断で本件自動車を運転したときは、被告岩井を叱責してはいたが、そのため本件自動車の鍵の保管を厳重にすることもなく、従前どおり被告西井方の玄関にある下駄箱の上か水屋の上に置いていたものであること、被告岩井は、自動車の鍵が右の場所にいつも置かれているのを知つており、本件事故の場合も、被告西井に無断で、友人を訪ねるため、いつもの場所に置いてある本件自動車の鍵を持ち出して、本件自動車を運転し、本件事故を惹起したものであること、以上の事実を認めうる。

右認定事実からすると、本件事故を生じた本件自動車の運行行為は、被告岩井の無断運転によつたものではあるが、右認定の被告岩井と被告西井の身分関係、本件自動車の日常の管理保管状況、本件自動車の無断乗出しの態様等からして、本件事故発生当時の本件自動車の運行は、客観的外形的には被告西井のためにする運行と認めるのが相当である。

したがつて、被告西井は、自動車損害賠償保障法第三条により、原告に対し、本件事故によつて生じた人損を賠償する責任がある。

二、<証拠>を綜合すると、本件事故現場附近は、車道部分の幅員約一二米の道路であり、その中央部6.4米幅の部分のみコンクリート舗装がなされているが、その両側約各2.8米の部分は非舗装であり、更にその両側に歩道が設置されていること、原告は、バックミラーのついていない自転車を運転し、本件事故現場附近の道路の舗装部分の進行方向左側を、その非舗装部分寄りに、小倉区日明方面から同区到津方面へ本件自動車と同一方向に、後方から来る車両に対し安全を充分注意せず進行していたところ、前記のとおり、本件自動車に追突されたものであること、本件事故現場附近の非舗装部分は、車道の一部であつて、自転車等が充分通れること、以上の事実を認めうる。<証拠判断略>。

原告は、自転車の運転者として、道路左端を進行し、中央部を進行する必要があるときは周囲の車両に対する安全を確認して進行すべき注意義務があつたところ、右認定事実からすると、本件事故の発生につき原告には右義務違反の過失があつたものというべく、右過失と被告岩井の前記過失との割合は、原告二、被告岩井八と認めるのが相当である。

(寒竹剛)

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